既存の建築物や、新築する建築物の天井が特定天井だった場合の改修方法をご紹介します。
建築物が特定天井に該当する場合、構造耐力上の安全性を検証・証明しなくてはなりません。その方法は既存建築物と新築建築物で異なります。新築建築物の場合は以下の3つのルートのうち、いずれかの基準をクリアする必要があります。
天井の質量が2kg/m²以上、20kg/m²以下の場合、仕様ルートをクリアする必要があります。壁と吊り天井が接する部分に6㎝以上の隙間(クリアランス)を設けて落下の危険性を軽減し、吊り材は1本/m²以上を釣り合いよく配置、天井材はネジ・ボルトなどで相互に緊結するなど、細かい基準が設けられています。
高層ビル・体育館など、構造上の問題から仕様ルートを適用しにくい場合、告示で定められた構造計算によって吊り天井の耐震性を検証します。検証方法には水平震度法・簡易スペクトル法・応答スペクトルがあり、いずれかの方法で計算。
水平震度法の計算は簡単ですがブレースが多くなるという特徴があり、簡易スペクトル法・応答スペクトルを採用した場合は第三者機関による構造計算適合性判定が必要となります。
音楽ホールなど、特殊な構造を持つ天井で仕様・計算ルートが適合しない場合は、大臣認定ルートを用いて検証します。これは、時刻歴応答解析・個別の実験や数値検証で特定天井の安全性を検証、国土交通大臣認定を取得する方法です。
一定の基準を満たせば吊り天井のままでも利用はできますが、やはり落下に対する不安が残ります。そこで注目されているのが、膜天井です。膜天井は、軽くてやわらかいシートを天井に張ることで、落下の危険性を低減するものです。
膜天井は特定天井に該当せず、天井の高さや面積に関わらず大空間をデザインできる新しい天井材です。一般的な改修工事では多くの機材が必要となり、工期も比較的長くなりがちですが、膜天井は体育館やホールといった大空間であっても短期間での施工が可能。
また、柔軟で自由なデザインを実現できるため、安全性の確保と同時に快適性をアップすることもできます。
500m2以上の工場向け
こんな膜天井
集合住宅向け
こんな膜天井