吊り天井は、建物の構造体からボルトで吊り下げた骨組みに天井材を張る構造です。主な部材には吊りボルト、ハンガー、野縁受け、クリップ、野縁、石膏ボードなどがあります。
地震が発生すると、吊り天井は大きく横揺れします。壁や建物本体に衝突することで天井材が脱落し、重大な被害をもたらすおそれがあります。天井の重量は1㎡あたり7〜60kgにもなり、大規模空間では総重量が30トンを超えるケースも存在します。
こうした落下リスクへの対策として設計されるのが耐震天井です。耐震天井は「パーツの補強」「ブレース(筋交い)の設置」「クリアランスの確保」という3つの要素で構成されています。
耐震天井において、筋交い(ブレース)は地震時の天井の横揺れを抑制する重要な部材です。ブレースを設置することで天井面の水平剛性が高まり、天井材の脱落や損傷の拡大を防ぐことができます。
筋交いが設置されていない吊り天井では、地震の揺れが天井面に直接伝わります。その結果、接合部に過大な力が集中し、クリップの外れや天井材の落下につながるおそれがあります。
ブレースは、天井裏に斜め方向に配置する鋼製の部材です。吊りボルトと野縁受けの交点付近に取り付け、地震時の水平方向の力に抵抗します。
斜め部材が三角形の構造を形成し、天井面全体の揺れを分散・吸収する仕組みです。日本耐震天井施工協同組合(JACCA)では、国土交通省告示第771号に基づく試験データと設計ルートによる耐震設計に加え、JACCA認定技術者の施工を耐震天井の要件として定めています。
耐震天井は、筋交い(ブレース)の設置だけで成立するものではありません。クリップなど接合部パーツの補強と、天井面周囲のクリアランス(隙間)確保を組み合わせることで、十分な耐震性を発揮します。
クリップ補強により部材同士の接合強度が向上し、地震時の外れや脱落を防止できます。クリアランスの確保は、揺れた天井が壁や周囲の構造物に衝突することを防ぐための措置です。これら3つの要素がそろってはじめて、耐震天井として機能する点を押さえておきましょう。
耐震天井にはさまざまな工法があり、筋交い(ブレース)の使い方もそれぞれ異なります。ここでは代表的な工法を紹介します。
天井の周囲にクリアランスを確保しつつ、天井裏に斜め部材(ブレース)を配置する方式です。特定天井・一般天井のいずれにも適用できます。建物の規模や天井面積に応じて適切な工法を選定することが重要です。
壁持たせ方式は、ブレースを使用せずに天井周囲の壁で地震力を受ける工法です。天井面を壁に固定し、横揺れに対する安定性を確保します。
接合部補強としては、YSRクリップ工法や耐震クリップ工法などがあります。耐震クリップ工法は振動台実験によって効果が確認されており、クリップ部分の脱落防止に特化した手法です。ブレース方式とは施工条件が異なるため、建物の状況に応じた工法の選択が求められます。
耐震天井の設計は、国土交通省が平成25年に公布した告示第771号に基づいています。この告示では、脱落によって重大な危害を生ずるおそれのある天井を「特定天井」と定義し、耐震設計の実施を義務づけています。
仕様ルートでは、告示に定められた仕様への適合を確認します。計算ルートでは、ブレースの許容耐力や天井の固有周期を個別に評価して安全性を検証します。いずれのルートにおいても、吊り材やブレースが取り付く構造耐力上主要な部分の剛性・強度確認が不可欠です。
耐震天井の筋交い(ブレース)は、地震時の天井落下リスクを低減するために欠かせない要素です。ブレースの設置に加え、クリップ補強やクリアランスの確保、適切な施工技術がそろうことで、耐震天井は十分な性能を発揮します。
耐震天井の導入や改修を検討する際は、国土交通省告示第771号に適合した設計と施工が求められます。建物の用途や天井の規模に応じた工法を選定するためにも、耐震天井の施工に精通した専門業者へ相談されることをおすすめします。
500m2以上の工場向け

引用元:マクライフ公式HP(https://maklife.jp/works/)
こんな膜天井
集合住宅向け

引用元:リフォジュール公式HP
(https://www.refojoule.co.jp/makutenjo/index.php#jirei:~:text=L%3D2.7M-,%E6%96%BD%E5%B7%A5%E4%BA%8B%E4%BE%8B,-%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3)
こんな膜天井