体育館・公民館・ホールなど、公共性が高く、多くの人が利用する施設において特定天井に該当する場合は天井の安全性を高めておくことが必須です。
ポイントとなるのは、「新築と既存建物では対策方法が異なる」ということ。まずは天井落下に対する対策方法を新築と既存建物に分けてご紹介します。
新築/既存建物の耐震化として
各施設で続々と採用されている天井工法を見てみる
特定天井とは天井の脱落によって甚大な被害を生ずるおそれがある天井のこと。以下のすべてに該当するものが特定天井と定義されています。
では、国土交通省で定められている、特定天井への対策方法を見ていきましょう。
新築建築物が特定天井に該当していた場合、震度5~5強の地震で天井が損傷しないことを検証し、安全性を示す必要があります。検証方法は以下の3通りで、いずれかひとつが適用されます。
仕様ルート | 天井の質量が2kg/m²超、20kg/m²以下の場合、仕様ルートで検証。壁と天井の間に隙間を設けるなど、構造的な仕様で一定基準を満たすことが必要です。 |
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計算ルート | 国土交通省告示第771号で定められている構造計算によって、天井の耐震性能を検証する方法。水平震度法・簡易スペクトル法・応答スペクトルのいずれかを利用します。 |
大臣認定ルート | 仕様ルート・計算ルートに適合しない天井について、個別の実験・数値計算などを用いて耐震性能を検証する方法です。 |
既存の建築物が特定天井の場合、落下防止ネットの設置やワイヤーで天井を吊るといった方法で、天井が破損しても落下しないような対策をとる必要があります。
膜天井とは、特殊な膜材シートを天井に施工することで、耐震性を高められる新しいタイプの天井。膜天井にすれば、特定天井に該当しなくなるため、前述したような煩雑な天井脱落対策が必要なくなります。
膜天井の質量は約500g/m²と、従来の天井材に比べても軽量。万が一落下したとしても、室内の人々・物品に与えるダメージを軽減することができます。また、膜材料は薄くてやわらかいため、地震などの揺れに対しても変形追従が可能。落下の危険性も極めて低いとされています。
さらに、一見すると脆そうですが膜素材は非常に丈夫で、天井からの落下物を一時的に受け止めるだけの強度があるのも特徴です。
従来の天井 | 膜天井 | |
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重さ | 約8kg/m²(厚さ9mmほど) | 約0.5kg/m² (厚さ1mm未満) |
パネルサイズ | 約6m² | 約1,000m² |
デザイン | 平面の組合せが主形状 | 曲面も可能 |
様々ある膜天井製品の中からこのページでは、1枚の大きな膜素材で天井を包み込むように施工できる、独自の膜天井システムを提供している株式会社マクライフに注目。1枚の膜素材で包み込むメリットや、その他の特徴をご紹介します。
広範囲の天井全体を1枚のシートで覆う独自の工法を採用。大規模な改修工事なしに耐震対応ができるため、簡単に特定天井の例外が適用可能です。
また、マクライフのファイバーシート天井システム「MAKUTEN」(以下、MAKUTEN)に使用されるファイバーシートの質量は、一般天井の約40分の1の軽さ。さらに、従来の膜天井に用いられるシートに比べて、膜材強度も約2倍と丈夫です。隙間なく天井を包み込むため落下物の心配はないうえ、万一天井が落下しても安全性が高い魅力があります。
1枚のシートで広範囲を施工できるMAKUTENであれば、天井のない建物にも隙間なく天井を張ることが可能。デザインにおいては、1枚布を用いて、ゆるみのない天井面を実現。
カラーも豊富なバリエーションから自由に選択でき、スタイリッシュな室内空間をつくれます。カラーリング以外に膜へのデザイン印刷も可能なため、思い描いた室内空間の演出に非常に役立ちます。
特許取得の技術(※)によって膜材を引っ張る工法を採用することで、少ない足場だけでの施工を実現。大がかりな工事が必要ないため従来は2~3週間かかっていた工事でも5日程で完了でき、コスト削減にも繋がります。
MAKUTENの工期 | |
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従来 | 2~3週間 |
特許取得後 | 5日 |
さらに、MAKUTENの設置先施設では施工中も通常の業務を行えるため、事業への影響を抑えることも可能です。
通常の膜天井と違い、MAKUTENは1枚のシートで空間を上下に仕切り、直射日光によって温かい空気が滞留する天井部分と、その下の空間を切り分けることが可能。これによって空調で温度を調節するエリアが狭まるため、空調効率を大幅改善することができます。マクライフの情報によると、遮熱仕様の場合は約30%の空調効率アップも期待できるため、コストの低減にもつながります。(※)
中学校の講堂に、耐震対策のための膜天井を設置。天井高3.5~5.3mの腰折天井で、やや特殊な形状をしていますが、柔軟性のある膜天井で美しい仕上がりとなっています。工期も7日間とスピーディーです。
建設会社の駐車場の天井に、膜天井を施工した事例。照明の反射も期待できることから、マクライフのMAKUTENが採用されました。ホテルのロビーを思わせる天井をイメージしており、高級感のある仕上がりになりました。
きっかけは、東日本大震災でした。自分に何かできる事はないのかと考えた末、考えついたのがこの膜天井でした。
というのも、これまで膜素材を使って大小様々な工事を手掛けていました。人や物を風雨から守るはずの建物内で天井崩落による被害を無くしたい。この技術を活かせば、きっと安全な天井を膜材でつくることが出来ると信じ、まだ世の中に例のない開発にチャレンジすることを心に決めました。
たしかにそうですね。
など、考えなければならないことは山のようにありました。
そこで、まずは「膜で天井を作るという漠然としたイメージを明確なものにしよう。」と考えました。
全国を回って、膜天井の必要性を説く講演をしながら、建築家、建築科の大学、高校、専門学校の先生がたに「一緒に膜天井をつくりませんか」と呼びかけ、様々な知識を得ていきました。
そうやって繋がることができた方々と研究を行い、ガラス繊維の強靭なシートに強い張力をかけ、隙間なく張り詰めれば、きわめて軽量で落下しにくく、落ちても怪我をしにくい。さらに、壁に金具を取り付けて両側からシートを張り上げる仕組みなら、足場も不要、工期も通常の天井よりも大幅に短縮できる。という現在の膜天井システムを開発していきました。
これなら、耐震化が必要な建物の新たな選択肢として大きな市場が狙える。しかしところが、強い張力をかけられる優れた金具が世の中に存在しなかったのです。
そうなんですよ。存在しないのであれば、作るしかないなと考えている中で、共同で金具を開発していただける地域の企業と知り合うことができたのは、本当に幸運でした。
そこからさらに、建築家や精密機械設計士、また時には弁護士、弁理士の先生方の協力も得ながら、技術・法律の両面をクリアした金具に行きつくことができました。
まずはやはり、壁さえあれば、高さに関係なく天井を作ることが可能な点です。一枚のシートで、最大300㎡まで施工可能です。
―――300㎡!そんな大きなエリアまで対応できるんですね。さらに広い面積なら300㎡毎に区割りすることで対応可能です。
また、途中天井を吊らないので、天井裏が深くても施工が可能です。途中に吊材は一切使用しません。壁だけを使って張力をかけ天井をつくります。そうすることで、パネルのような美しい仕上がりになるのもMAKUTENの特徴。あと、通常の照明、空調、点検口、消防の設備等をそのまま使用できる点もご好評いただいています。
地震の際に、何か落ちてくるのではないかと、机の下に隠れなくても良い、安全な世の中をつくりたいと思っています。 建物は人や物を守るシェルターであってほしい。どんなに大きな揺れがきても、何回も連続してきても、人が安心して過ごせる世界になることを目指しています。
天井の耐震化には様々な選択肢があります。吊材を補強する方法、吊材はあってもボード材を軽くする方法・・・etc。震度いくつまで堪えられる構造でありながらも、想定外の出来事が今たくさん発生しています。
揺れても崩れ落ちる事のない天井(膜材により変形追従性が大きい)、そして万が一落下したとしても、落ちてくるのは従来の天井で使用されていた様々な金具や部材ではなく、ただ柔らかなシートだけの天井。天井落下でけがをされる方をこれ以上増やさないために、ファイバーシート天井システムでつくられたMAKUTENのご検討をお願い致します。
会社名 | 株式会社マクライフ |
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本社所在地 | 岡山県津山市下野田387-1 |
電話番号 | 0868-29-3356 |
公式HP | https://maklife.jp/ |