軽量天井、略して「軽天」とは、主にビルやマンションなどの大きな建物で使用される「軽量鉄骨天井下地」のことを指します。木造住宅では天井の下地に木材が用いられますが、鉄骨造りの建物が増えてきた現代においては、軽天工事が広く行われています。この軽天工事では、天井だけでなく壁の骨組みも組み立てられるため、建物全体の構造を支える重要な工程となっています。
軽天の天井下地に使用される主な材料は「軽鉄」や「LGS(軽量鉄骨材)」です。これらの材料は、軽量でありながら強度も十分にあり、安定した天井下地を作り上げるのにピッタリです。
天井下地とは、天井の裏側に組まれている骨組みのことを指し、天井仕上げを支える大切な部分です。梁がむき出しの木造住宅や、コンクリートがそのまま見えるRC造りの建物など、天井自体が存在しない建物も一部あります。しかし、ほとんどの建物では部屋に天井があり、そこにはしっかりとした天井下地が組まれています。
天井下地の役割は、仕上げ材(例えばボードやパネルなど)をしっかりと支えることです。そのため、施工には丁寧さと正確さが求められます。特に軽天工事では鉄製の部材を用いるため、耐久性の高い天井を作り上げることが可能です。
天井面を支える水平材で、石膏ボードや化粧パネルを取り付けるための下地となります。
野縁を支持し、骨組みの安定性を確保する部材です。吊りボルトによって構造体に固定されます。
構造体から軽天下地を吊り下げ、天井の高さや水平を調整する部材です。
軽天下地に使用される部材はJIS規格(JIS A 6517)に準拠した製品が一般的です。以下のような製品があります。
軽天の天井下地を組む際の手順は、以下のように進行します。
まず最初に行うのが「天井レベル出し」です。天井の高さを正確に測定し、レベルを決めることが重要です。この工程で天井の高さが決まらないと、使用するボルトなどの部材の寸法が決められず、工事が進められません。図面を基に天井の高さや使用する材料を確認し、墨出しを行って壁に印をつけていきます。この墨出しにはレーザー墨出し器が用いられます。
天井のレベルが決まったら、次にボルトを吊る作業を行います。ボルトは隣り合わせで900mm間隔に吊るし、壁際のボルトは壁から150mm以内の位置に設置します。既にアンカーやインサートが仕込まれている場合は、それに応じてボルトを吊り、不足部分には新たにアンカーを埋め込みます。
次に、野縁受けを掛けます。野縁受けは、仕上げ材となるボードを支える野縁を固定するための部材です。一般的には部屋の短い方向に野縁受けを掛け、これにより野縁を長い方向に渡すことができます。部屋の大きさに合わせて必要であれば野縁受けをカットしたり、ジョイント材を使用して長さを調整します。
野縁受けが設置されたら、次に野縁を渡していきます。野縁も部屋のサイズに合わせてカットし、必要であればジョイント材でつなぎます。このとき、隣り合う列の野縁のジョイント位置が重ならないように注意が必要です。
野縁を設置したら、仮留めを行い、その後、全体が真っすぐになるように調整しながらしっかりと固定します。これにより、安定した下地を構成することができます。
最後に、天井全体のレベルを確認し、調整します。天井が水平であることは見た目の美しさだけでなく、構造の安定性にも関わるため、レーザー墨出し器を使って正確にレベルを整えます。
日本では耐震性能が求められるため、軽天下地に以下の工夫が必要です。
用途や環境に応じた部材を選定することが重要です。湿気が多い場所では防錆処理された製品を使用します。
塩害地域や湿気の多い場所では、防錆処理された材料を選び、定期的なメンテナンスを行うことが推奨されます。
寸法精度の高い製品を選び、部材同士の接合を正確に行うことで、安定性を高めます。
軽天工事は、建物の天井下地や壁の骨組みを正確に組むことにより、安全で長持ちする建物を作る基盤を築きます。この工程がしっかり行われていることで、後の天井仕上げや壁の設置がスムーズに進み、耐久性の高い仕上がりを実現できます。
軽天工事は目に見えない部分ですが、建物全体の強度と美しさを左右する非常に重要な役割を担っています。建築において下地作りを丁寧に行うことは、見た目の良さだけでなく、利用者の安全と快適さにも繋がるのです。
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